イチオシ!ワケあり? 伊藤Pの映画コラム
10/25よりサロンパス ルーブル丸の内ほか全国にて
配給会社:ワーナー・ブラザース映画
(C)2008 「ICHI」製作委員会
曽利文彦監督が女版「座頭市」を撮ると聞き、
どれだけ独創的な映像で殺陣を見せてくれるのか楽しみだった。
が、そんな期待とは逆の方向に曽利監督は向かっていった。
「そこまでやらなくても・・・」ってぐらいオーソドックスで、落ち着き払った演出。
らしさを出すのは、中盤にある殺陣のみ。
それも如何にも血しぶきをCGで足しましたって感じで、げんなり。
こういうガッカリ感をどっかで味わったことあるな〜って思ったら、
ジャッキーやジェット・リーのハリウッド作品だってことに気が付いたよ。
ファンがあなたに求めているのはそこじゃないって。
ゆったり作り過ぎちゃって、テンポもかなり悪い。
ワンシーン、ワンシーンが長い。
間が持つほど絵が力強くもないんでまったりしちゃう。
この手の作品だったら、やはり長くても100分台にまとめたいところだ。
そもそも誰に向けて作ったん?
綾瀬はるかで、中高年層狙いってわけないよね?
ターゲットが若者なら、もっとスピーディーにした方がいいんじゃないかと。
ただでさえ、若者は時代劇をみない。
たまたま綾瀬はるかファンが見たとしたら、
チャンバラ映画はダルイという要らぬ印象を与えかねない。
間延びしたシーンが多いし、アクションにインパクトもない。
だったら物語となるんだが。。。
物語の核となる市と大沢たかお演じる十馬との恋愛感情のような、憧れのような、
兄妹のような曖昧な関係がしっかりと描き切れていないので、全体的に締まらない。
で、何よりも大沢たかおはミスキャストだと思う。
なんかねぇ、このところ便利に使われ過ぎている気がするんだよね。
今まで3、4回インタビューさせて頂いたことがあるんだけど、
とても映画に対して真摯に向き合っているし、
日本の映画業界のことを物凄く考えている。
だから『ラブファイト』でプロデューサーを買って出たというのも納得だった。

大沢たかおは40歳だ。
『築地魚河岸三代目』での田中麗奈とカップルというのも、
ちょっと無理があったと思うんだけど、
綾瀬はるかは28歳の田中麗奈よりも更に若い23才。
まぁ、これぐらいの年の差はありなんかなぁ・・・
でも男から見るとちょっと共感できないんだよねぇ。
30才ぐらいでいないかな〜。
若くして何かを背負っている。
過去を感じさせつつも、頼りになる兄貴のような雰囲気を醸し出せる俳優は?
オダギリジョー?
安藤政信?
いっそのこと、いつもと変わらない怪演で、
敵役の万鬼に扮している中村獅童を十馬にキャストティングしてみたりして。

孤独でどこか儚げな市と野性的な十馬のほろ苦い微妙な関係。
意外性があって良いかも。
なんにしても、描きようによってはもっと、もっと面白くなったと思うんだけどな。。。
『ピンポン』とまでは言わないけど、もう少し遊んで欲しかったなぁ。
と、かなり批判的な内容だけど、【裏部屋】ではないのは、
そうは言っても曽利監督のクリエーターとしての心中がなんとなく判るから。
同じことを繰り返しやり続けて地位を確立するケースもあるけど、
マンネリや殻を打ち破れない畏れもでて来るでしょう。
新しいチャレンジをして、振り幅を広げることは、
作り手にとって時に必要なことなんだと思う。
映画として破綻しているとかもないし、
正統派であることは間違いない。
あと綾瀬はるかもなかなか様になっておりました。

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